【北京時事】香港政府は8日、スパイ行為などを取り締まる「国家安全条例」案を立法会(議会)に提出し、審議が始まった。立法会は現在、政府を支持する親中派がほぼ独占しており、香港メディアによると、早ければ4月に同条例が成立する可能性がある。
 国安条例は、中国主導で2020年に施行された香港国家安全維持法(国安法)を補完するもの。制定された場合、香港の社会統制が一段と強まるのは必至で、ビジネス環境の悪化や国際金融センターとしての地位低下を懸念する声が内外で高まっている。
 この日公表された条例案によると、▽国家への反逆行為▽反乱や扇動▽国家機密の窃取やスパイ行為▽国家安全に危害を加える破壊活動▽海外勢力による干渉―などを取り締まる。最高刑は終身刑で、スパイ行為には最長20年の禁錮刑が科される。
 国家機密には、中国や香港の外交、経済・社会、科学技術などに関するものが含まれる。コンピューターや電子システムを不正に使って国家安全を脅かす行為も犯罪となる。海外勢力の干渉として、中国・香港の政策、香港の議会、裁判所、選挙に影響を与える行為などを挙げた。
 香港政府の※(※登にオオザト)炳強保安局長は立法会で、「国家安全のリスクは常に存在し、脅威は突然やって来る」と主張。「国家安全の抜け穴をふさぐため、可能な限り早期に制定しなければならない」と訴えた。 
〔写真説明〕香港政府トップの李家超行政長官=2022年7月、香港(EPA時事)
〔写真説明〕8日、香港立法会で「国家安全条例」案について説明する※(※登にオオザト)炳強保安局長(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)