2024/03/11
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】クーデターで実権を握ったミャンマー国軍が2月に徴兵制の実施を発表してから1カ月が経過した。若者らの間に動揺が広がり、国外などに逃れる動きが進む。国内で迫害されるイスラム系少数民族ロヒンギャが国軍に強制連行された疑いもあり、国連は懸念を表明した。
国軍は2月10日、18歳以上で一定年齢までの男女を対象とした徴兵制の実施を突如発表。その後、4月から年6万人規模で招集を始め、当面は女性を除外することを明らかにした。
背景には昨年10月以降に激化した少数民族武装勢力との衝突で国軍が劣勢となり、多数の兵士が死傷したり投降したりしたことがある。シンクタンク「米平和研究所」のイェミョーヘイン客員研究員は「徴兵制の開始は、国軍の兵員不足の深刻化を浮き彫りにした」と指摘した。
徴兵から逃れるため、出国を目指す若者も増えている。最大都市ヤンゴンにある労働関係の政府機関を訪れていた大学生の男性(21)は取材に対し、「クーデターに抗議して学校には通っていない。兵役に就きたくないのでマレーシアに行く」と明かした。女性(24)は「国軍は女性を当面徴兵しないと言っているが信用できない。シンガポールで介護の仕事に就きたい」と話した。
一部の若者は少数民族が支配する地域に逃れたり、国軍との戦闘に参加したりしているもようだ。隣国タイへ不法に入国し、拘束される事例も相次いでいる。
ミャンマーの独立系メディアは、少数民族勢力と国軍の戦闘が続く西部ラカイン州で2月、少なくとも計約500人のロヒンギャの男性が国軍によって強制的に連行されたと報じた。国軍は否定し、少数民族側による行為だと反論している。国連人道問題調整事務所(OCHA)は今月公表した報告書で、「弱い立場のロヒンギャは紛争の全当事者から徴兵される恐れがあり、主要な懸念事項だ」と訴えた。
〔写真説明〕パレードするミャンマー国軍兵士=2月12日、ネピドー(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- ミャンマー
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方