伊豆諸島への旅客船を運航する「東海汽船」(東京都港区)で、酒気帯び状態での勤務など複数の法令違反があったとして、国土交通省関東運輸局は2日、海上運送法に基づき、一部の船舶の使用停止命令を出した。同命令は2022年の北海道・知床半島沖の観光船沈没事故を受けて導入され、適用は初めて。
 国交省などによると、命令が出されたのは大型客船1隻とジェット船2隻で、期間は9日から20日間。島民への影響を考え、代替運航などが行われる見通し。2日の閣議後記者会見で、井林辰憲国交相は「責任をしっかり受け止め、社風を一新する覚悟で再発防止に取り組んでいただきたい」と述べた。
 関東運輸局は今年1~6月ごろ臨時監査に入り、海上運送法に違反する事例が13項目あったと認定。8月、安全統括管理者と運航管理者の解任を命じるなどの行政処分を出していた。
 同省によると、今年元日、大型客船2隻で船長を含む乗組員が船内で飲酒をし、アルコール検査をしないまま当直勤務に就いていた。元日の飲酒は慣習化しており、少なくとも30年以上前から始まっていたとみられる。また、今年4月にはジェット船の乗組員がアルコール検査の替え玉受検や記録への虚偽記載をするなど、検査体制が形骸化していた。
 当初は事業停止命令も検討されたが、島民の生活への影響や、同社から改善計画が提出されたことなどを考慮して使用停止命令となった。
 同社の山崎潤一社長は命令書を受け取り、沈痛な面持ちで謝罪。「再発防止に全力で取り組む」と深く頭を下げた。取材に「私の進退も含め、早急に対応していきたい」と語った。 
〔写真説明〕船舶使用停止の命令書を受け取る東海汽船の山崎潤一社長(左)=2日午後、横浜市中区

(ニュース提供元:時事通信社)