2022/06/02
インタビュー
普段は防災用品等を補完する保管庫や災害用の水タンクとして使用でき、水害時には広げてボートとして活用できる。こんなユニークな商品を開発したのが土佐レジン代表取締役の小川宏氏。開発の背景には、余命が3カ月と宣告されたガンとの闘病や奇跡的に病気を克服して天啓を得た社会貢献活動にあった。
(危機管理ビジネスEXPOに製品掲載)
天啓を得た防災事業
高校卒業後、造船所に就職していた小川氏は、FRP(繊維強化プラスチック)の加工でアイディアを形にするモノづくりで一旗あげようと27歳で独立して現・土佐レジンを設立した。苦労を重ねながらも、漁船の改修や養殖用の水槽、モニュメント製造などを展開し、社員を9人にまで増やしてきた。
事業がちょうど波に乗り出したさなかの1999年、当時46歳にして咽喉がんを患い余命3カ月と宣告された。「もはや手の施しようがない状態と医者から告げられ、大泣きして、自殺も考えた」と小川氏は振り返る。高校時代から大好きだったギターに打ち込み気を紛らわしながらも、残された人生をどう生きるかを考えた。
発病から10年ほど経ったある日、奇跡が起きた。体からがんが消えていた。生かされた命を社会のために役立てなくてはいけないと決心し、防災製品の開発を始めた。
移動式の風呂で被災地を支援
2010年には、被災地でも、水を循環ろ過して使える移動式の風呂「アソットバス」を開発。材料費だけで100万円を超え、高額のため一般販売はしていないが、川やプールの水をろ過しながら、いつでも清潔な状態で入浴できる。アソット(ASOT)は同社の防災ブランド名。土佐(TOSA)の名前に由来する。その半年後に東日本大震災が発生した。
発生から20日後、「避難所でお年寄りの方が風呂に入りたいという話を耳にして、軽トラックと一体となったアソットバスで、17時間をかけて被災地へ向かった」。
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