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将来は、さまざまな要素が関係して創られる。そのため、それらを全て正確に予測することは不可能といえる。しかしながら、われわれは、長年合理的に将来を予測することに努力を続けてきた。そして、一定の割り切りを含んだアプローチをリスク管理に応用している。それは、過去の傾向が将来も繰り返すという前提に立って、過去データを統計処理して蓋然性を踏まえた予測を行うことである。当然、過去データのなかにも外れ値が存在するし、過去とは異なる事象の発生を否定できない。そこで、リスク管理の実務では、平時と有事に分けて対処する工夫がなされている。

現行のリスク管理体系は、概ね次のような構成となっている。平時の管理として、リスク量の多寡を踏まえたリスクテイクの方針を策定する(リスク選好)。リスク量をリスク制御やリスク財務を通じて企業の許容範囲内におさえる管理を実施する(財務の健全性管理)。リスクとリターンを対比することによる資本効率の管理を実施する(資本効率管理)。

また継続企業を担保するために、有事を想定した極端なストレスシナリオを設定し、平時のリスク管理とは別に財務の健全性を担保するためのコンティンジェンシープランの策定を行う(ストレス管理)。さらに、巨大なイベントの発生時においても重要な事業領域を継続するために、必要最小限の事業活動を維持するための対策を講じている(事業継続管理)。

不確実性の深まりへの対応

今後さらに経営環境に不確実性が増せば、平時の想定を超える想定外の事態の発生が増えることとなろう。例えば、通常時は各リスクが連鎖して大損害を引き起こすことは稀であるが、ある特殊な有事の状況において、リスクが連鎖するシステミックリスクや、広域に被害を及ぼす巨大災害の連続的発生や感染症によるパンデミックの発生、さらに地政学的リスクによるサプライチェーンの長期間の機能不全といった事態の発生が懸念される。

またサステナブル経営の推進が、新たな事業領域への活動範囲を拡大させ、事業環境を変化させることも想定しなければならない。今後このような想定外の事態の発生頻度が増加することが懸念され、不確実性を所与とした経営へと方向転換せざるを得ないものと考えられる。そこで、未知のリスクの拡大に備え、組織のレジリエンス自体を能動的に強化してゆく取り組みが必要となってこよう(レジリエンス管理)。

レジリエンス管理を具体的に検討するためには、想定外の事態の発生といったシナリオを設定し、その場合においても、事業におけるコア領域の活動を確保するための対策を検討するのが現実的である。その意味で、事業継続計画(Business Continuity Plan: BCP)の枠組みを応用することが考えられる。