ニデックが9月30日に公表した2026年3月期の有価証券報告書に対し、監査法人は2期連続で「意見不表明」とする異例の判断を下した。記載された財務諸表が適正かどうかの意見を表明するための「十分かつ適切な証拠が入手できなかった」のが理由。今後、内部管理体制の改善を明確に示せなければ、年内にも上場廃止の判断が下る可能性がある。

 意見不表明とした判断に当たり、監査法人は長年の不正会計に関与した役職員の一部が、報告書の作成プロセスに責任ある立場で携わったことを問題視。専門家は、会社自体が「信頼できない」と突き放された形だと厳しく指摘する。

 ニデックは不正会計の発覚後、東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されており、今後の上場維持か廃止かの判断は、10月末が提出期限の内部管理体制確認書に基づいて下される。内部管理体制の整備と運用について改善が確認されれば上場は維持されるが、いずれも不十分かつ改善の見込みがないと判断されれば上場廃止となる。

 運用が不十分でも体制の整備が確認されれば、引き続き特注銘柄指定のまま経過観察対象となり、上場が維持される可能性がある。

 今回の監査意見について、企業統治や会計監査に詳しい青山学院大の八田進二名誉教授は「実質的な不適正意見となり、上場基準で一番厳しい廃止のトリガーになり得る」と指摘。物理的に監査できない状況などで「意見不表明」となるケースはあるが、経営者に対する不信によるものは極めて異例だとの見方を示した。その上で「上場維持には正当な理由が必要になるだろう」と述べた。

 また、内部管理体制の改善に向けては、社外取締役の主体的な関与が重要になると指摘。年内に開催予定の臨時株主総会に向けて、確かな形で経営の刷新感を示せなければ「株主やステークホルダーは納得しないだろう」との見解を示した。(了)

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