【北京時事】中国が米国主導の対中半導体輸出規制の強化に警戒感を強めている。先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)が中国を念頭に経済安全保障の首脳声明を初めて発表したほか、日本が半導体製造装置の輸出管理を厳格化するなど、包囲網は確実に狭まっている。中国はこれに対し、外交攻勢で巻き返しを図る構えだ。
 日本政府は23日、法令を改正し、7月から先端半導体の製造装置を中国に輸出する際に個別許可を得るよう義務付けた。昨年10月に米国が対中輸出規制を大幅に強化したのに続く措置で、中国は「輸出管理の乱用であり、断固として反対する」(商務省)と強く反発した。
 中国は米国の輸出規制について世界貿易機関(WTO)へ提訴。広島サミットが閉幕した21日には、米半導体大手マイクロン・テクノロジーの製品にセキュリティー上のリスクが見つかったとして、国内企業の調達を一部制限すると発表し、対米圧力を高めた。「日本にも何らかの対抗策を取る可能性がある」(専門家)との見方も出ている。
 先端半導体の製造装置は日米とオランダで世界シェアの大半を占めており、中国はまだ厳格な規制強化に踏み切っていないオランダへの働き掛けを強めている。新華社通信によると、李強首相は16日にオランダのルッテ首相と電話会談し、「オランダは欧州の優先パートナーだ」と関係強化を訴えた。
 激しく対立する米国との間でも、王文濤商務相が訪米し、レモンド商務長官らと会談。業界関係者は「規制強化による中国の打撃は大きい。影響を少しでも和らげようと、外交攻勢を仕掛けている可能性がある」と分析した。 

(ニュース提供元:時事通信社)