AIの進化には目を見張るものがある。当然、保険会社においてもAIを活用することが広まっている。保険を引き受ける業務においても、AIの活用が進んでいるわけである。多くのデータに基づいて、より高度な数理モデルを活用することで、より正確にリスクを特定でき、保険料の適切さを向上させること、さらにはより個別的な状況に応じてより適切な保険を提供することも可能にしうる、といったメリットを享受できる方向へと進むことも予想される。

バイアスによるデータの偏りに注意

とはいえ、AIが本来的に内在する限界も理解しておくことが求められる。AIが導き出すソリューションは、それが活用するデータやアルゴリズムに基づいているものであり、そこにはバイアスが存在しうることを念頭に置くことである。事実、保険会社がAIで入力するデータが、自社の限定的な情報に偏っている効能性もありえたり、あくまでも過去の情報であるために、最新の状況を必ずしも反映しきれているとは言いきれなかったりすることもありうる。そのため、保険加入者からすると、不当な保険料を請求されることも起こりうるのである。

もちろん、AIを活用する保険会社も、こうしたバイアスを考慮した対応策を講じているであろうが、そうしたバイアス対策が、どの程度適切で、合理的なものであるのかは、被保険者に明確に伝わっているとは限らない。