2023/06/06
防災・危機管理ニュース
政府の「新しい資本主義」実行計画の改定案には、世界的に半導体など戦略物資のサプライチェーン(供給網)の見直しが進む中、日本の地政学的な優位性を生かしながら、海外企業を含めた立地・投資を呼び込む方針を盛り込んだ。米欧なども生産拠点を国内に誘致するため大規模な財政支援を講じる中、日本も「世界に遜色ない水準」で税制・予算面の支援を検討する。
人工知能(AI)やスーパーコンピューターに使われる先端半導体の世界生産は9割が台湾に集中。「台湾有事」で供給がストップすれば、世界経済は大混乱に陥る。米国を中心に民主主義など価値観を共有する同志国との間での供給網整備を進める中、政治・経済環境が安定して円安で輸出環境も良好な日本は「投資先として魅力が高まりつつある」と指摘する。
岸田文雄首相は先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)開幕直前の先月18日、海外の大手半導体メーカー幹部を首相官邸に招き、積極投資を呼び掛けた。これを受け、米マイクロン・テクノロジーは、日本で新たに最大5000億円を投資する計画を発表した。
これまで日本は半導体支援のため計2兆円の予算を確保。これに対し、米国は総額527億ドル(約7兆3000億円)の補助金を用意し、欧州連合(EU)も430億ユーロ(約6兆3000億円)の官民投資を計画する。西村康稔経済産業相は6日の記者会見で「今後、必要な予算をしっかりと確保し、半導体産業の再興・飛躍を加速させる」と強調した。
実行計画では、データセンターや蓄電池も戦略投資分野に指定。経済安全保障上の観点から中国でのデータセンター立地を回避する動きがあり、日本に優位に働くと期待する。電気自動車(EV)に不可欠な電池の生産は中国メーカーのシェアが高く、国内の生産基盤の強化が急務となる。
〔写真説明〕新しい資本主義実現会議に臨む岸田文雄首相(中央)=6日午後、首相官邸
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方