2023/07/03
防災・危機管理ニュース
ツイッターで閲覧できる投稿数に制限が設けられたことを巡り、自治体の防災情報の発信などで影響が出始めている。国内では大雨の時期を迎えているが、実際に災害が起きた時に投稿ができなくなったケースもあったといい、担当者らは「情報収集や発信に困ってしまう」と戸惑いの声を上げる。
ツイッターの運営会社は1日、無料の利用者の1日に閲覧できる投稿数を600件にするなどの上限を設定。ツイッターを買収したイーロン・マスク氏は「一時的な緊急措置」と説明しており、上限はその後、緩和されたという。
先週末の大雨で被害を受けた山口市では、市内の川の水位などをツイッターで発信しているが、同市防災危機管理課によると、6月30日から1日にかけて投稿ができなかったことがあったという。同課担当者は「ツイッターはよく見られていると思う。解決してもらわないと困る」と訴えた。
長野県では、2019年の台風19号による千曲川決壊で被害を受けた際、投稿された救助要請を独自に収集し、消防や警察に情報提供をするなどの対応を取った。県の危機管理防災課の担当者は「ツイッターは現場の状況がリアルタイムで入ってくる。閲覧制限が続くと、災害の発生自体の情報が得にくくなる」と影響を懸念する。
ただ、東北大の佐藤翔輔准教授(災害情報学)によると、16~20年までに発生した主な災害の被災者に当時の情報収集の手段を聞いたところ、依然としてテレビやラジオを挙げる人が多かったという。このため佐藤准教授は「(閲覧数制限は)住民の情報収集よりも、行政が情報集めに使っている場合に影響が出るのでは」と指摘する。
その上で、「今回の制限など不測の事態に備え、自治体は複数のツールで情報収集や発信をできるようにしておくべきだ」と述べた。
(ニュース提供元:時事通信社)
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