福岡県と大分県に大雨特別警報が一時発令され、九州北部に土砂崩れなどの被害をもたらした大雨は、太平洋高気圧から前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み続け、線状降水帯が発生したことが要因とみられる。専門家は「球磨川が氾濫した2020年の豪雨と似ている」と指摘する。
 梅雨末期は、暖かく湿った空気が南から太平洋高気圧の縁を回り、梅雨前線に向かって流れ込むことで大雨となる。
 九州大の川村隆一教授(気象学)は「今回は太平洋高気圧が平年よりも西に張り出したことから、大量の水蒸気が九州上空へ流入し続けた」と分析。「球磨川が氾濫した20年7月の豪雨や、九州北部や中国地方などで記録的大雨となった21年8月の状況と似ている」と述べた。
 また、太平洋赤道域東部の海面水温が平年を上回るエルニーニョ現象が発生していることが大雨の一因となったと指摘。「エルニーニョ現象が起きている年は、8月になっても天候が不安定になりやすい。特に西日本の降水が増える傾向が顕著だ」として、引き続き注意するよう呼び掛けた。 

(ニュース提供元:時事通信社)