【ニューヨーク時事】フェイスブックやインスタグラムを運営するSNS最大手の米メタが、カナダでニュース記事の表示を停止したため、山火事の情報収集が困難になっていると批判されている。カナダは例年を上回る規模の山火事に見舞われているが、メタの措置により避難に支障が出ているという。
 カナダ議会は6月、IT大手に対し、SNSで転載した記事の対価を報道機関に支払うよう義務付ける「オンラインニュース法案」を可決。同法はまだ施行されていないが、反発したメタがニュースの表示停止に踏み切った。
 一方、カナダでは今月18日時点で1000カ所以上で山火事が発生中。北西部ノースウェスト準州の州都イエローナイフでは16日、危険が迫っているとして住民約2万人に避難命令が出た。最近の自然災害では、SNSが情報伝達に大きな役割を果たしているが、フェイスブックなどでは、避難に関するものも含めて記事が閲覧できない。
 代わりに多くの人が地元メディアの記事を撮影した画像を投稿。メタの規制をかいくぐり、避難に役立つ情報を共有しているという。
 メタのSNSの月間利用者は世界で38億人に上る。実際に避難した住民は、公共放送CBCに「最も大きいSNSの一つで正確なニュースが共有できないことは、とても危険だ」と訴えた。この問題を担当するサントンジュ民族遺産相は18日、メタの措置を「無謀だ」と非難。ロドリゲス運輸相も「容認できない」として、表示を戻すよう要請した。
 これに対しメタは、ロイター通信に「カナダの人々はフェイスブックやインスタグラムで政府機関の情報に(直接)アクセスできる」と説明。ニュースの表示制限を続ける方針を示している。 
〔写真説明〕カナダで発生した山火事で、煙が充満する幹線道路を走る車=16日、北西部イエローナイフ(ロイター時事)

(ニュース提供元:時事通信社)