【北京時事】ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカで構成する新興5カ国(BRICS)首脳会議が22日、南アのヨハネスブルクで始まる。24日までの日程で、加盟国拡大などについて議論する見通しだ。欧米主導の国際秩序に対抗する狙いから、中ロは拡大に前のめりだが、インドは慎重姿勢を示しており、5カ国には温度差がある。
 BRICSへの加盟には、イラン、サウジアラビア、アルゼンチン、インドネシアなど40カ国以上が関心を示しているとされる。BRICSの国内総生産(GDP)は世界の4分の1を占めており、中でも圧倒的な経済力を持つ中国とつながる枠組みは、新興・途上国には魅力的だ。
 拡大論の急先鋒(せんぽう)は、米国との対立が続く中国だ。「多国間主義」を掲げる習近平政権は可能な限り多くの新興国を加え、外交的な影響力拡大を狙っている。ウクライナ侵攻により国際的孤立を深めるロシアも同様の思惑を持っており、南アも大筋では拡大に賛同している。
 一方、インドは加盟国の増加に慎重だ。中国と国境紛争を抱えるインドにとって、中国に従順な国ばかりが加入し、自国の発言力が弱まる事態は避けたいところだ。BRICSが反米的な色彩を強める展開も望んでいない。ブラジルでは、拡大後の影響力低下を懸念する声があると報じられている。
 中国英字紙チャイナ・デーリーは、新規加盟に当たっては認定基準が必要になるとの専門家の見解を伝えた。「『正式加盟』に限定しない拡大方法」を模索することも考えられるとしており、オブザーバーなどの形で参加国の増加を図る可能性がある。
 今回のBRICS首脳会議は4年ぶりの対面開催となる。習国家主席らが現地入りするが、国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているロシアのプーチン大統領はオンラインで参加する。南アは24日の拡大会合に、アフリカや中南米などの首脳67人を招待している。 
〔写真説明〕中国の習近平国家主席=6月19日、北京(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)