気象庁は9日午前6時40分に伊豆諸島と小笠原諸島に津波注意報を発表し、その後千葉、高知、宮崎、鹿児島(奄美地方含む)各県を追加した後、正午にすべて解除した。八丈島では同7時17分に60センチの津波が観測された。同5時25分ごろに鳥島近海で地震か火山活動、海底の地滑りなどが発生したと考えられるが、原因を特定できていないという。総務省消防庁によると、人的被害の報告は入っていない。
 神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島各県の沿岸でも若干の海面変動が起きる可能性がある。八丈島以外で観測された津波の最大の高さは、三宅島と神津島50センチ、高知県土佐清水市と鹿児島県・中之島40センチ、千葉県館山市と鹿児島県南大隅町30センチなど。
 気象庁の下山利浩地震情報企画官は記者会見し、鳥島近海は周囲の観測点が少ないため、津波の原因が地震であった場合の規模(マグニチュード=M)を推定できていないと説明した。沿岸で津波が観測され始めてから注意報を出したため、通常より時間がかかった。引き続き原因を調査する。
 鳥島近海では2日から地震活動が活発化。5日にM6.5の地震が起きた際は規模を素早く推定して伊豆諸島に津波注意報を発表することができ、八丈島で30センチを観測した。 

(ニュース提供元:時事通信社)