【ワシントン時事】ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は20日、東部ドネツク州の集落アウディイウカ近郊で攻勢を強めた。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は国民向け演説で、この攻防戦で「占領軍を撃破し、踏ん張っている兵士に感謝している」と述べ、「ここ数日ロシア側に与えた損失は実にめざましい」と強調した。
 ロシアの侵攻開始から24日で1年8カ月。厳しい冬の到来を前に、両軍の攻防は激しさを増している。
 ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍はアウディイウカの包囲を目指して攻勢を強化。同本部はウクライナ軍の抵抗の結果、ロシア側の損失は1日だけで死傷者約900人、破壊された戦車も約50両に上ったと主張した。一方、ロシア国防省も通信アプリで「ドネツク方面でこの1週間、敵の攻撃を25回撃退した」と成果を誇示した。
 米シンクタンク戦争研究所は20日、ロシア軍がこの攻勢で「わずかに進軍した」と指摘。「大きな損失にもかかわらず、ロシア軍司令部がこの地域での攻勢にこだわっていることを示している」と分析した。
 アウディイウカは州都ドネツクに近い集落。昨年2月の侵攻開始後からロシア軍がたびたび攻撃してきたが、ウクライナ軍が死守している。 
〔写真説明〕ウクライナ東部の集落アウディイウカの様子=18日、ドネツク州(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)