【ブリュッセル時事】ウクライナ侵攻を続けるロシア軍が、長期戦を見据え十分な弾薬確保に動いているとの見方が浮上している。ロシアに隣接するエストニアの情報当局高官は、「ロシアには約400万発の砲弾が残されている」と指摘。現状でも1年以上戦闘を継続できるとの分析を明らかにした。
 エストニア公共放送は20日、同国軍情報機関トップ、アンツ・キビゼルグ大佐の記者会見の内容を報道。キビゼルグ氏は、約400万発との推計を公表した上で、「1日1万発という比較的少ない現在の消費量なら、1年強は使用し続けることが可能だ」と述べた。
 北朝鮮によるロシアへの軍事支援に関しては、ロシア軍の約1カ月分の消費量に相当する30万~35万発の砲弾がロシアに渡ったと推測。ロシアが現時点で十分な砲弾を保有していることを踏まえると、北朝鮮の砲弾は長期戦に備えた備蓄に回ると予測した。
 弾薬を巡っては、ウクライナへの供給源となっている西側諸国の間でも不足が取り沙汰されている。北大西洋条約機構(NATO)高官は今月に入り、各国の弾薬が減っていると指摘。ただ、ゼレンスキー大統領は23日、前線への弾薬供給について、自国産を含め「絶えず増加している」と主張した。
 米シンクタンク戦争研究所は23日、西側諸国がロシア軍と比較してどれだけウクライナに弾薬を供与できるかが「2024年の両国の戦力を決定する重要な要因になるだろう」と分析した。
 ロシアのウクライナ侵攻は、24日で1年8カ月を迎えた。英国防省の分析によると、侵攻後のロシア側の死傷者は15万~19万人に上る。一方、ウクライナの検察当局は23日、侵攻によりこれまでに508人の子供が死亡したと発表した。 
〔写真説明〕ロシア軍が使用した砲弾やミサイルの残骸=2022年12月、ウクライナ北東部ハリコフ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)