石川県を中心に大きな被害をもたらした能登半島地震は1日、発生から1カ月を迎えた。空港や一部学校の再開など、復興に向けた足音が聞こえ始めたが、各地で断水が続き、生活インフラは整っていない。再起を決意し地元に残る人、後ろ髪を引かれつつ県外に避難した人。思いはそれぞれだが、ふるさと再建の道は険しい。
 県によると、1月31日午後2時までに確認された死者は珠洲、輪島両市が101人ずつで、県全体では計238人。依然連絡の取れない安否不明者も19人いる。死者の多くは倒壊した家屋の下敷きになるなど、地震が直接の原因となったとみられるが、長引く避難のストレスなどが要因となる災害関連死も珠洲市と能登町で6人ずつ、輪島市で3人の計15人に上る。
 家屋などの住居は県内で4万6200棟超が全・半壊したり、一部損壊したりし、床上浸水も確認された。こうした状況を受け、岸田文雄首相は北陸4県で民間賃貸住宅など約2万3700戸を確保したと明らかにし、県は3月末までに応急仮設住宅約3000戸の建設に着工、公営住宅なども合わせ約1万3000戸を提供するとしている。
 だが、依然1万4643人が避難所などで不自由な生活を余儀なくされている。多くは今も体育館などで寝泊まりしており、31日午後2時時点で約8600人が公民館などに開設された1次避難所に身を寄せる。 
〔写真説明〕能登半島地震発生から1カ月を迎える観光名所「朝市通り」周辺=31日午前、石川県輪島市
〔写真説明〕地震で焼失した観光名所「朝市通り」周辺の実家から食器を見つけた男性ら=31日午後、石川県輪島市
〔写真説明〕石川県輪島市に設置された仮設住宅=31日午後(小型無人機より撮影)
〔写真説明〕能登半島地震で地盤が隆起し、海底が露出した黒島漁港=1月29日、石川県輪島市(小型無人機より撮影)

(ニュース提供元:時事通信社)