【シリコンバレー時事】米司法省は6日、米グーグルから同社の人工知能(AI)開発に関する機密情報を盗んだとして、西部カリフォルニア州在住で中国籍の元従業員の男が逮捕・起訴されたと発表した。男は中国企業2社でひそかに働き、入手した情報を転送したという。
 ガーランド司法長官は声明で「国家安全保障を危険にさらす可能性のある先端技術の窃取を容認しない」と述べた。流出した高度なAI技術は、諜報(ちょうほう)活動や軍事利用にも転用され得る。AI開発に力を入れる中国の手に渡れば、安保上の脅威になりかねない。
 訴状によると、男はリンウェイ・ディン被告(38)で、2019年からソフトウエアエンジニアとしてグーグルに勤務。機械学習やAIアプリを効率良く動かすソフトウエアの開発などを担当し、AIの基盤モデルなどの機密へのアクセスが認められていた。
 被告は22年から機密を個人のグーグルクラウドに移し始めた。ファイルは500件超に上り、幹部待遇を提示した中国の新興企業や秘密裏に設立した自身の企業などに渡った恐れがある。昨年12月にグーグルがこうした不正を確認した。 

(ニュース提供元:時事通信社)