【北京時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相は7日、北京で開会中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて記者会見した。米中協力の重要性を訴える一方、習近平国家主席が「核心的利益の中の核心」と位置付ける台湾問題に関しては、一歩も引かない姿勢を改めて強調。「『台湾独立』分裂行為は台湾海峡の平和と安定にとって最大の破壊要素だ」と述べ、台湾に武器売却を続ける米国をけん制した。
 米中関係は、昨年2月に米本土上空に飛来した中国の偵察気球を米軍が撃墜して急速に悪化したが、同11月に行われた両国首脳会談を経て高官らの対話基調ができつつある。バイデン米大統領と習氏の電話会談も今春に予定されている。
 王氏は会見で「首脳会談以降、中米関係の改善には一定の前進が見られた」としつつ、「米国の誤った対中認識が続いている」と指摘。「中国を抑圧することにこだわれば、最後は必ず自らを傷つける」と強調し、米国の対中制裁関税などを批判した。その上でバイデン政権に対し、米中関係の安定化を進めるよう訴えた。
 今年1月の台湾総統選では、中国が「独立勢力」と見なして敵視する民進党・頼清徳副総統が当選。王氏は、選挙後に180以上の国や国際組織が、中国大陸と台湾は不可分とする「一つの中国」原則への支持を表明したと主張。「国際社会が『一つの中国』原則を順守するようになるのは時間の問題だ」という認識を示した。
 一方で王氏は、東京電力福島第1原発の処理水放出などを巡り、冷え込みが続く日中の2国間関係には言及せず、「中日韓協力の推進」に触れただけ。日本メディアが指名されることが恒例だが、今回は質問を受け付けなかった。 
〔写真説明〕7日、北京で記者会見に臨む王毅共産党政治局員兼外相
〔写真説明〕7日、北京で記者会見し、質問を待つ王毅・中国共産党政治局員兼外相(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)