2024/10/21
防災・危機管理ニュース
温水洗浄便座を巡り、過去10年間で発生した発火などの事故の8割近くが、製造から10年以上の製品だったことが、製品評価技術基盤機構(NITE)のまとめで分かった。国産製品が初めて市場に投入されてから50年以上が経過。NITEは、家庭で長く使われている便座が増えているとして、「定期的に点検し、異常は放置しないで」と呼び掛けている。
NITEによると、国産製品の市場投入は1967年。2016年には普及率80%を超え、水洗化されているほぼすべての家庭に設置されるほど定着しているという。
昨年までの10年間に発生した温水洗浄便座の事故をNITEが調べたところ、報告のあった69件のうち54件(78%)が、製造から10年以上の製品だった。40件は便座の破損で済んだが、8件は異常発熱や熱水の噴出により重度のやけどなど人的被害が出た。また、故障などを放置して発煙や発火、やけどにつながった事故は15件に上った。
東京都内では22年、洗浄ノズルが出たまま戻らない故障を放置して使用を続け、3カ月後に火災が起きる事故が発生。17年に長野県の店舗で便座が焼けた事故では、強酸性の洗剤で毎日掃除していたことにより内部が腐食したことが原因とみられるという。
NITEは「温水洗浄便座は長く使われがちだが、電気製品で寿命がある」と指摘。掃除の際は便座に洗剤を直接吹きかけず、布などに含ませて拭くことを推奨している。水漏れや焦げた臭い、便座の異常発熱、操作ボタンのひび割れなどを見つけたら、すぐに止水栓を閉め、電源プラグを抜いて販売店やメーカーに相談するよう注意喚起している。
〔写真説明〕再現実験で内部の基板が発熱し、穴が開いた温水洗浄便座(NITE提供)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/19
-
-
-
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方