BC「M」に新たな仕組みは必要ない
第14回:BC「M:マネジメント」の重要性
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
2024/10/15
ざんねんなBCPあるある―原因と対処
荻原 信一
長野県松本市出身。大学卒業後、1991年から大手IT企業に勤務。システム開発チームリーダーとして活動し、2005年にコンサルタント部門に異動。製造業、アパレル、卸業、給食、エンジニアリング、不動産、官公庁などのコンサルティングを手がける。2020年に独立。BCAO認定事業継続主任管理士、ITコーディネータ。
BCPの計画と現実とのギャップを、多くの企業に共通の「あるある」として紹介、食い違いの原因と対処を考える本連載。第2章は「BCPの実効性、事業継続マネジメント、発生コスト」に焦点をあてていますが、今回と次回は事業継続マネジメントのなかに潜む「あるある」を取り上げます。まずは事業継続マネジメントの課題について、筆者の考えを語ります。
・BC「M」の重要性
BCPという書物さえあれば、災害などの危機に直面した会社を存続の危機から救ってくれるというものではありません。従業員がそれを知らなければ何の役にも立ちませんし、知っていたとしても従業員が役割を認識して行動できなければ役に立ちません。
また、BCPそのものが訓練などを通じて検証され見直しされたものでなければ、やはり役に立たないものになってしまうでしょう。
BCPを実行可能なものとして機能するよう維持していくことがBCM(事業継続マネジメント)であり、外的な環境の変化や経営方針、リスク対策の進ちょくや体制など内部の変化に合わせていくことが必要です。また、繰り返し行う訓練を通じてBCPを見直していくこと、教育によって従業員の認知を高めること、訓練で判断力や対応力を高めていくこと、経営が積極的に関与することが求められます。
BCMの定義を見てみましょう。
BCMを推進するとき、日常の組織活動から分離された秘密結社的なBCM推進組織をつくって、ひそかにBCPを見直したり訓練を行ったりするのは非現実的ですし、効果も得られません。また、BCMのための新たなルールを追加したとしても負荷になるだけです(新たなルールを考えること自体が負荷ですしメンドクサイですよね)。
結論から先に言ってしまうと、BCMの推進は、一定のサイクルで回っている、いま動いている組織のマネジメントに乗せてしまいましょうということです。
ざんねんなBCPあるある―原因と対処の他の記事
おすすめ記事
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方