2024/03/10
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】米国で中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の禁止を巡る議論が再び浮上している。米国のデータが、運営する中国IT大手、字節跳動(バイトダンス)を通じて中国政府に流れ、安全保障上の脅威になるとの懸念が強まっているためだ。若年層を中心に短編動画アプリが浸透する中、反対の声も多い。
米下院は近く、超党派で提出されたティックトック禁止法案を採決する見通し。バイデン大統領は8日、記者団に「議会を通過すれば、署名する」と話し、法案を支持する考えを表明した。ただ、上院審議のめどは立っておらず、法案の行方には不透明感が残る。
法案は、米国事業を売却しなければ、米アップルのアプリストアなどでのアプリ配信を禁止する内容。主導した対中強硬派のギャラガー下院議員(共和)は「バイトダンスは中国共産党の支配下にある」と指摘し、中国との関係を断ち切るか、禁止されるかを選ばせると説明する。
ティックトックを巡っては、トランプ前大統領が、中国系アプリの使用を禁じる大統領令に署名したが、連邦地裁が差し止めを命令。バイデン政権が撤回し、実現していない。西部モンタナ州も同内容の州法を成立させたが、昨年11月に連邦地裁が仮差し止めを命じた。
一方、バイトダンスは2022年、米国関連データを米IT大手オラクルのクラウドシステムで管理すると表明。米利用者データも、米国内の同社サーバーに移転すると説明し、懸念払拭を図った。今回の法案には「表現の自由を奪う」と猛反発。アーティストや企業に打撃を与え、投稿者の生活を破壊すると警告した。
ギャラガー氏によると、バイトダンスは、アプリ利用者に反対を呼び掛けており、議員らの元には抗議の電話が相次いだという。
米国のティックトック利用者は1億7000万人程度。米調査会社ピュー・リサーチ・センターによると、若者に人気で10代の6割強に浸透しており、X(旧ツイッター)を大きく上回る。昨年3月には、米成人の半数がティックトック禁止に賛成していたが、昨秋時点では4割弱に減少。反対は22%から27%に増加したという。
(ニュース提供元:時事通信社)
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