【ジャカルタ時事】世界4位の人口2億7000万人余りを抱えるインドネシアで、結婚する人が急激に減っている。2018年には202万組近くの夫婦が誕生したが、昨年は約158万組と5年で2割以上減少。専門家らは新型コロナウイルスの感染拡大のほか、「女性の意識の変化」や「経済的な先行き不安感」が原因ではないかと指摘している。
 同国中央統計局によると、結婚したカップルは14年には211万組余りで、15年以降いったん減ったものの、18年に再び200万組を超えた。その後は減少傾向となり、コロナ禍に見舞われた20~22年は170万組台。昨年は新型コロナ対策での規制が緩和されたにもかかわらず、160万組を割り込んだ。
 セベラスマレット大のドラジャ・トリ・カルトノ講師(社会学)は、地元紙で「女性の意識が変化して、結婚より仕事を選ぶだけでなく、趣味の時間を大事にするようになった」と指摘。さらに「家庭内暴力が増えている現状を踏まえ、女性たちは結婚すれば幸せになれるわけではないと考えているのでは」と分析する。
 マラン・ムハマディヤ大のフィナ・サルビアナ・ダルビナ・スダルウォ教授(社会政治学)は「コロナ禍はもちろん(式が挙げられなくなるなどして)結婚が減少した理由の一つ」と説明。その上で「一世代前の人たちは何事にも楽観的だったが、今の若い人たちは経済的な不安感から結婚に踏み切れないケースが多いようだ」と語る。
 インドネシア政府は、同国の人口が45年にナイジェリアとパキスタンに抜かれ世界6位に後退するものの、約3億2400万人に達すると予測している。しかし、フィナ教授は「政府が経済的な支援策を打ち出さない限り、実現は難しいと思う」と話している。 
〔写真説明〕長女の結婚式で記念写真に納まるインドネシアのジョコ大統領(左端)=2017年11月、中ジャワ州ソロ市(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)