政府は26日、新しい資本主義実現会議(議長・岸田文雄首相)を開き、首相の掲げる「成長型経済」実現に向け、供給制約への対応などについて議論した。首相は、人手不足に苦しむ中小企業の労働生産性引き上げのため「省力化投資に官民で全力で取り組む」と強調した。
 首相は、特に人手不足が深刻な運輸業などの現場で、情報通信技術(ICT)を使える労働者を育成する方針も明らかにした。政府は議論を重ね、6月ごろにも取りまとめる「新しい資本主義」実行計画の改定への反映を目指す。
 首相は、後継者不足に悩む中小企業などの事業承継支援にも言及。中小企業のM&A(合併・買収)を手掛ける仲介事業者が、ビジネス相手となりがちな買い手側の意向を強く反映することを防ぐため、事業者の手数料体系の開示・透明化を進める考えだ。
 供給制約への対応を巡っては、人工知能(AI)やロボットなど自動化技術の利用促進、中高年層がこれまでの経験を生かして起業できる環境整備なども検討する方針が会議で示された。日本の生産年齢人口(15~64歳)は2020年に7509万人だったが、70年には4535万人まで減少する見込み。 
〔写真説明〕新しい資本主義実現会議で発言する岸田文雄首相=26日午後、首相官邸
〔写真説明〕岸田文雄首相(右から4人目)が出席した新しい資本主義実現会議=26日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)