【台北時事】台湾東部沖の地震で大きな被害が出た花蓮市では5日、揺れで大きく傾いた9階建てビルの解体工事が始まった。同ビルは下層部が崩壊しながら傾き、約45度で止まった。2階に住んでいた女性は地元の民放テレビに「家が1階になっているのに気付いた時、深刻さが分かった」と発生時を振り返った。
 女性は両足が不自由なため、地震の際、すぐには動けなかった。落ち着くのを待ち、ゆっくり動こうとした時、2階のはずの自宅が1階になっていることに気付いたという。「窓の外にいた近所の青年が私を外に出してくれた」と感謝した。
 同ビルでは20人以上が救出され、住民女性1人が死亡。繰り返す余震で傾斜が進んでいるとみられ、完全に崩壊する危険を避けるため地元当局が早期取り壊しを決めた。5日午後、クレーン車による解体作業が始まると、「私のものをごみにしないで」と泣き叫ぶ住民の姿も見られた。
 ガラスが砕け散り、砂ぼこりを上げながら傾くビルから周囲の人々が逃げる当時の様子は繰り返し報じられ、地震の恐ろしさを見せつけた。ただ、周辺の別の高層ビルは無事だったことから、耐震性の問題も指摘されている。 
〔写真説明〕5日、台湾東部・花蓮で進む傾いたビルの解体作業(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)