2024/05/11
防災・危機管理ニュース
【サンパウロ時事】中南米で異常気象の発生が目立っている。中米パナマのパナマ運河は干ばつで通航を制限され、南米ブラジルの南部は記録的豪雨で大規模な洪水に見舞われた。国連機関は、「エルニーニョ現象」で長期的な気候変動の悪影響が深刻化し、重大な事態の頻発につながったと分析している。
ブラジル南部リオグランデドスル州では4月末から続いた豪雨により、今月11日時点で死者が136人に達し、行方不明者も141人に上る。州都ポルトアレグレが接するグアイバ湖は水位が一時、5メートルを超えて過去最高を更新した。10日には被災地に再び雨が降り、7万人以上の被災者らが避難所で不安な時を過ごした。
パナマでは運河に水を供給する人工湖の水位が「危機的水準」まで低下。昨年夏から通航できる船舶数を制限する措置を導入した。日本の海運大手も利用しており、世界の物流に大きな影響が及んでいる。5日の大統領選で勝利したムリノ次期大統領はロイター通信に、運河のための新たな貯水池の建設に意欲を示した。
国連の世界気象機関(WMO)は8日、中南米・カリブ海地域の気象に関する報告書を公表し、2023年は同地域にとって「過去最も暑い1年」で、異常気象が目立ったと指摘。「定着した長期的な気候変動」によって異常気象が起きやすい中、太平洋赤道域東部(南米沖)の海面水温が平年を上回るエルニーニョ現象で事態が悪化したと分析した。
報告書はさらに、大西洋に面する地域では世界平均を上回るペースで海面が上昇し、「小さい開発途上の島国が脅威にさらされている」と強調した。多くの国では異常気象によって農業が打撃を受け、「食料不足」につながったという。
岸田文雄首相は、訪問先のブラジルで4日に行った中南米政策に関する演説で、気候変動などの分野で協力する姿勢を表明。日本の対応も注目されている。
〔写真説明〕冠水したブラジル南部リオグランデドスル州の街並み=9日(EPA時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
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