【ニューデリー時事】インド政府は4月30日、次回の国勢調査に同国特有の身分制度カーストの所属を尋ねる項目を含めることを決めた。差別是正を目的に大学入試などで割り当てられる低カースト向け「留保枠」の適切な設定に役立てる狙いがあるとみられる。ただ、社会に根付く敏感な問題だけに、波紋が広がる可能性もある。
 調査の実施時期は明らかにしていない。2011年には国勢調査とは別の調査としてカーストに関する聞き取りが行われたが、結果の全容は非公表。詳細な人口構成が判明すれば政治に与える影響も大きいため、全国的な調査が避けられてきた経緯がある。
 インド政府は「社会的にも経済的にも強くなり、国の発展が支障なく続くことを確実にする」決定と説明した。
 国勢調査は通常10年ごとに実施。直近は21年に予定されていたが、新型コロナウイルス流行を理由に先送りされたままだ。政府が人口動態を正確に把握できなければ、適切な経済政策の実施に支障が出る恐れもあると指摘されている。 
〔写真説明〕インド国旗(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)