2026/05/09
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】8日に公表された4月の米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数が前月比11万5000人増と、市場予想の6万2000人増を大幅に上回った。労働市場の底堅さが改めて示された形で、連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利下げ再開は困難な状況。ただ、米イスラエルとイランの紛争に伴う原油高でインフレ高進懸念が広がっており、コスト圧縮を目的とした人員削減が相次げば、景気悪化は避けられない。
新体制発足を控えるFRBは、二大責務である「物価安定」と「雇用最大化」のどちらを優先的に取り組むかで板挟み状態に陥りそうだ。
シカゴ連邦準備銀行のグールズビー総裁は8日、米メディアのインタビューで、足元の労働市場について「良好とは言えないが安定している」と分析。軍事衝突前から高止まりするインフレに警戒感を示し、「検討される選択肢は利下げだけではない」と利上げの可能性も示唆した。
堅調さを保つ雇用はひずみも抱える。伸びをけん引するのは医療関連(前月比3万7000人増)などで、偏りが目立ったままだ。一方、人工知能(AI)導入の影響を受ける情報関連は1万3000人減と、16カ月連続のマイナスを記録した。
紛争長期化による原油高に歯止めがかからなければ、企業利益が圧迫されるため人員削減が相次ぐ可能性がある。業務効率化に向けたAI活用による採用見直しも相まって「夏場には雇用が崩れる」(アナリスト)との見方がくすぶっており、比較的好調な個人消費も失速しかねない。
景気浮揚を狙うトランプ大統領が大胆な金融緩和を求める中、近く議会上院の承認を経てFRB議長に就任する見通しとなったウォーシュ元理事は利下げを模索するとみられる。ただFRBは現状、インフレ抑制を重視。ウォーシュ氏が利下げを前面に出せば合意形成が難航し、金融政策の先行きは混迷を深めそうだ。
〔写真説明〕米連邦準備制度理事会(FRB)のビル=ワシントン(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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