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企業は不確実性に対し、その将来の予測をできるだけ確からしいものとすることによって、企業価値創造を管理可能な状況の下で推進しようと努力してきた。つまり、これまで企業が構築してきたリスク管理は、豊富なデータや経験知の蓄積に基づき将来予測の蓋然性の向上を目指してきたものと言える。その目的を達成するためには、現在の環境前提が大きく変化しない短期的な視点を中心に、再現性の高い将来予測に基づくリスクプロファイルを基礎に合理的な処理を施すことによって価値変動の管理を精緻化してきたとも言える。

しかし、中長期的視点から、企業が持続的成長のための戦略推進へと舵を切った瞬間、蓋然性から外れる不確実性を取り込み、財務要素のみでなく非財務要素との関係で発生する連鎖の可能性や、現在のネットワークが分断されるといったこれまで未経験なリスクと向き合わなければならなくなる。つまり、経営管理として、このような不確実性を所与とした備えについて検討を進めてゆかなければならないといった状況におかれているものと整理できる。

このような状況の下では、挑戦する不確実性の高い領域が企業の身の丈を超えてしまうと倒産の可能性を高めてしまうことに注意しなければならない。持続的成長のためには、リスクガバナンスとレジリエンスの強化がこれまで以上に必要となっている。企業を取り巻く今後の流動的な経営環境への的確な対応のためには、伝統的なリスク管理の枠組みを見直し、強化を図ってゆく必要がある。そのための視点は、蓋然性を極度に重視した静態的管理体制から、不確実性の高い経営環境に適合した動態的管理体制の構築を急ぐということになろう。