2026/10/16
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】アジア開発銀行(ADB)の神田真人総裁(前財務省財務官)は16日までに時事通信のインタビューに応じ、「世界経済はこれまでにない不確実性の下にある」と語った。中東情勢の混乱に伴うエネルギー価格の高騰やエルニーニョ現象の深刻化、気候変動に伴う自然災害の激甚化などをリスク要因として列挙した上で、アジア太平洋地域では「インフレが持続し、さらに悪化する可能性がある」と警鐘を鳴らした。
神田氏はバンコクで開催中の国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会に出席している。
ADBの経済見通しによると、アジア太平洋地域の新興国の成長率は、2025年の5.5%から26年には5.0%へ減速する。アジア諸国は原油・ガス調達の中東依存度が高いため、ADBはこれまでに56億ドル(約8800億円)の金融支援を進めている。神田氏は「エネルギーの安全保障の重要性は各国首脳に深く認識されており、地域連携による強靱(きょうじん)化を含む改革を進めるチャンスだ」と強調した。
先進国を中心とした長期金利上昇の影響については「ドル建て債務を多く抱える途上国にとって、返済負担の増大につながっている」と指摘。「エネルギー価格や輸送コストの上昇、財政の持続可能性への懸念などから、途上国のインフレリスクが高まっている」と警戒感を示した。
次回のADB年次総会は来年5月に名古屋市で開催される。「世界中が内向きになり、各国内も分断されている状況下で、非常に重要な国際協調の機会になる」と述べ、「日本の民間企業のアジア地域進出を促す一つのきっかけにしたい」と期待を込めた。
日本の経済財政運営に関しては「どの国にとっても健全なマクロ経済政策を維持することが極めて有効で、それが投機筋にやられないための一番の武器になる」と分析した。金融政策に関しても「タイミング良く金利を調整することが経済を守ることにつながる」と訴えた。
神田氏は財務官時代に、大規模な円買い為替介入を指揮した「令和のミスター円」として知られる。財務官退任後の25年2月にADB総裁に就任し、今年11月から2期目に入る。
〔写真説明〕インタビューに答える神田真人アジア開発銀行(ADB)総裁=14日、バンコク
(ニュース提供元:時事通信社)

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