廃プラスチック輸出入を規制するバーゼル条約の影響

2018年には世界の廃棄物処理および再資源化サプライチェーンの混乱が生じた。中国は国内の環境体系の汚染を削減するために約900万トンのプラスチックごみを含む外国の廃棄物の輸入を禁止。これにより、プラスチックごみがカナダやイギリスなどのヨーロッパ諸国に大量に積み上がってしまった。米国は元来中国に送られていた廃プラスチックの3割を埋め立てに回し、その他をアジア諸国に送っていたが、それらの国々が、輸入に対する制限や禁止を2018年上期に発表した。

これまで廃プラスチックを受け入れてきた国々が次々に輸入の禁止や制限を行う流れを汲んで、5月10日に「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」という包括的な国際環境協定が採択された。輸入国政府の同意がなければ輸出ができなくなり、世界規模で廃プラスチックの輸出入を規制する初めての制度となった。年間100万トンを超える廃プラスチックのリサイクルを海外に頼る日本は、国内処理をせざるを得ない状況に置かれたことになる。

世界に目を転じてみよう。ナショナルジオグラフィックが伝えるところによれば、1950年ごろからの本格的に生産されるようになったプラスチックの生産量は累計で83億トンに上り、そのうち63億トンが廃棄されている。さらにはリサイクルされていないプラスチックは実に57億トンもあるという。海洋に廃棄されたプラスチックも大量にあり、“マイクロチッププラスチック”の問題がまさに生態系を崩しかねない状況になっており、人間の生活基盤にまで影響を及ぼす危険性をはらんでいる。

プラスチックの「4R」時代到来

SDG (Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の達成や、ESG (Environment, Society, and Governance = 環境、社会、統治)への取り組みを積極的に行っている企業においては、プラスチックごみは避けて通ることのできない問題だといえるだろう。プラスチックを生産している企業は、環境に優しい代替製品の研究・開発を進めており、一方で、プラスチック製品を販売している多くの企業は、それらの回収やリサイクルの方策に取り組み始めている。環境省では早ければ2020年にもレジ袋の完全有料化を目指している。また、全国清涼飲料連合会は2030年までにペットボトルの100%回収を目標に掲げた。達成のためにわれわれ一人一人が考えなければならないことは、プラスチックの3Rならぬ4Rである;Reduce(削減)、Repair (修理)、Recycle(再生)、 Reuse(再利用)。それらの比率を高めるためには、ペットボトルに異物などを入れないなどの注意を払わなければならない。世界の国の中では環境に優しい、4Rに積極的に取り組んでいる国々も多くあるが、それらを手本として、一人一人の意識を変革する必要がある。便利さや手軽さを求めるだけでなく、安心や安全があってこその暮らしであることを決して忘れてはいけない。

(了)
マーシュブローカージャパン株式会社 
代表取締役会長
平賀暁