(写真:Shutterstock.com)

2019年1月中旬に世界経済フォーラムが発表したグローバルリスク報告書2019年版によると、環境関連リスクが、発生の可能性では上位5のリスクのうち3つを、影響では4つを占めていると発表された(図1参照)。サイバーや地政学リスクに対する関心は個社のビジネス成長を阻害するものとして高くなっているが、一方、地球環境を大きく悪化させている人為的な環境災害に対しても世界全体が足並みをそろえて解決策を考え始めているのも最近の潮流である。本編では、先日5月10日に採択されたバーゼル条約の改正案を紹介するとともに、人為的な環境災害のリスク連鎖の脅威を説いて、問題の解決の方向性を示すこととする。

写真を拡大 図1 2019年のグローバルリスクの展望 出典:世界経済フォーラム発行「グローバルリスク報告書2019年版」日本語版(マーシュジャパン/マーシュブローカージャパンによる翻訳)

プラスチック製品が世界環境を悪化させる

現在は第4次産業革命の最中であり、AI(人口知能)やロボットなど、新しい技術の導入によって人間の暮らしに大きな変革が起き始めている。暮らしが便利になり、そして楽になる反面、負の遺産が生まれていないかどうかを確かめることは、子孫繁栄のためにわれわれに課された大きな課題である。

今回取り上げるプラスチックは、19世紀中ごろ、大量生産に代表される第2次産業革命時代に発明され(セルロイド)、コンピュータを使った機械の自動化が導入された20世紀中盤の第3次産業革命の頃に本格的な生産が始まった。現在では、エアバッグ、ペットボトルや紙おむつなど、軽量で防水性のあるプラスチック製品は、われわれの生活にも深い関わりを持っているが、これらが今、世界環境を大きく悪化させる負の連鎖を起こしている。

図2はグローバルリスク報告書2019年版に掲示されている「リスク相互連関性マップ」である。この中で、「人為的な環境災害リスク」が9つの他のリスクと連関していることが分かる。これらは「生物多様性の喪失、絶滅と生態系の崩壊」「異常気象」「自然災害」「食糧危機」「都市計画の失敗」「気候変動の緩和や適用への失敗」「国家統治の失敗」「大規模な非自発的移住」であり、全てがプラスチックごみと直接の連関をしていることとは断言できないものの、間接的な影響を与え、与えられていることは想像できる。

写真を拡大 図2 リスク相互連関性マップ 出典:世界経済フォーラム発行「グローバルリスク報告書2019年版」日本語版(マーシュジャパン/マーシュブローカージャパンによる翻訳)
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