小池知事は計画運休にも対応できる柔軟な働き方の重要性を語った

ブルーシート備蓄も

地下の電源設備の浸水による停電などが問題となった、タワーマンションなどの浸水対策としては、都のマンション管理ガイドラインに風水害対策に関する取り組みを追加する方針。さらには管理組合向けのセミナーも開催する。建築確認の申請時に、申請者などに河川管理者への相談を案内する他、不動産業界団体には購入者向けに浸水リスク情報の周知について改めて協力を呼びかける。都営地下鉄や都バスでは止水板の見直しに加え、北陸新幹線などで車両水没の問題も起こったことから、車両避難方法の検討も行う。

物資については都が直接備蓄する品目を見直す。台風15号で不足が問題となったブルーシートを2万5000枚、土のう袋26万枚を新たに備蓄。島しょ部でもブルーシートや土のう袋の他、可搬式発電機や充電器の備蓄も充実させる。これらは12月の都議会に提出する今年度補正予算案で対応する。

この他にもアクセスが殺到した都や区市町村のホームページのダウン対策を行う他、多摩川では川と水路を区切る樋門(ひもん)を閉じる作業に危険が生じたことから、宅地側から遠隔操作できるよう対応を進める。電源確保対策では停電時の病院機能維持で移動電源車の活用などに新たに取り組む。

都では2020年度の出水期前に、今回の検証結果の進捗状況について確認する。小池百合子知事は29日の記者会見で「今後も不断の見直しで防災事業のグレードアップを進め、セーフ シティ東京を万全としたい」と述べた。計画運休時の出勤のルール化について「計画運休は新しい事態であり、新しい対応が必要。公・労・使で話し合う。都庁でも誰が来なくてはならないかを決める他、自宅でテレワーク対応なども行っていく。働き方改革にもつながることだが、計画運休時の新しい働き方や安全のあり方のベースを決めたい」と説明した。広域避難については事前準備として東京マイ・タイムラインの普及を進める他、「計画運休で混乱も考えられる。一連の台風では車内で亡くなる方も多かった。垂直避難も含め、避難の方法一つ一つを細やかに検証し、対策を立てたい」と述べた。

■ニュースリリースはこちら
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/11/29/12.html

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(了)

リスク対策.com:斯波 祐介