台風19号で大被害を受けた長野市の住宅街

近年まれにみる流域型洪水をもたらした台風19号。当サイトで「安心、それが最大の敵だ」を連載し、今回の台風と被害が似ている江戸中期の寛保大洪水に関する著書「天、一切ヲ流ス」や「洪水、天ニ漫(ミ)ツ カスリーン台風の豪雨・関東平野をのみ込む」を執筆したジャーナリストの高崎哲郎氏が特別寄稿を行った。

71河川・135カ所の堤防決壊

2019年10月12日、東日本を襲った台風19号の記録的豪雨と惨劇は、21世紀最悪の自然災害の代表例として記憶され、論じられるに違いない。20日午後12時45分の時点で全国で68人が死亡し、12人が行方不明となっている(消防庁調べ)。国土交通省によると、同台風による豪雨で川の堤防決壊は20日午前11時の時点で、7県合わせて71河川、135カ所に上った。また住家の浸水被害は20日午後12時45分の時点で21都県、5万3085棟にのぼる。住家は他にも全壊122棟、半壊864棟、一部損壊2682棟(消防庁調べ。いずれも空前の数字であり、今後増えることも予想される)。

被害は関東甲信越や東北地方の一部など広域にまたがり、無堤の中小河川はもとより、吉田川、阿武隈川、千曲川、久慈川、越辺川、都幾川、那珂川、多摩川といった<決壊してはならない>大河川の堤防が切れたり越水を起こしたりした。戦後、積み上げてきた国の治水政策(洪水対策)・救助救援態勢が今回の未曽有の被害で見直しを余儀なくされるであろう。