2019/10/29
台風19号関連風水害対策特集
全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)や内閣府などによる「台風19号災害に関する全国情報共有会議【拡大版】」が29日、東京都千代田区の全国社会福祉協議会(全社協)で開催された。27日までに約7万2000人のボランティアが活動した他、14都県110市区町村でボランティアセンター(VC)が開設されたことなどが報告された。
台風19号とその後の台風21号の影響による低気圧被害により、全国で死者90人、行方不明者10人、住家は床上浸水3万3579棟、床下浸水3万6691棟といった被害が出ている(29日午前5時半現在、消防庁調べ)。災害ボランティアについては27日までに約7万2000人が活動し、家屋からの泥かきや物資の搬入などを行った。110のVCのうち最多は千葉県の18カ所、次いで福島県が16カ所、宮城県が13カ所。千葉県では台風15号で開設し、終了した後に復活したところもあったという。既に休止または終了したのは40カ所。
被災地における社会福祉協議会や行政などによる情報共有会議は宮城県、福島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、長野県、静岡県で開催。長野市では行政やボランティア、市民、自衛隊が連携した災害ごみの移送も行われたという。課題として被害が広域なこともあり、ボランティアの不足や偏りもみられ、全社協ではホームページでボランティアの募集状況をVCごとに公表。特に協力が必要なVCには赤い二重丸が付けられている。
ボランティア団体からは「平日も含めた継続的な支援がほしい」といった意見も出された。内閣府で防災を担当する平将明副大臣は、「関係者の連携促進を進め、ボランティアが活動しやすい環境を作りたい」と述べた。また、24日に日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体連合会に対しボランティア活動のための有給休暇取得促進やボランティア休暇制度の整備・活用を依頼したことも説明した。
■ボランティア募集状況はこちら(全社協 被災地支援・災害ボランティア情報)
https://www.saigaivc.com/typhoon201919/
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
台風19号関連風水害対策特集の他の記事
- 都、計画運休時の出勤でルール作り
- 江戸川区、広域避難回避の背景と今後
- ボランティア7.2万人、地域偏在も
- 被災地・長野で住宅再建へ動く企業
- 台風19号の大惨事に思う「常に備えよ!」
おすすめ記事
-
競争と協業が同居するサプライチェーンリスクの適切な分配が全体の成長につながる
予期せぬ事態に備えた、サプライチェーン全体のリスクマネジメントが不可欠となっている。深刻な被害を与えるのは、地震や水害のような自然災害に限ったことではない。パンデミックやサイバー攻撃、そして国際政治の緊張もまた、物流の停滞や原材料不足を引き起こし、サプライチェーンに大きく影響する。名古屋市立大学教授の下野由貴氏によれば、協業によるサプライチェーン全体でのリスク分散が、各企業の成長につながるという。サプライチェーンにおけるリスクマネジメントはどうあるべきかを下野氏に聞いた。
2025/12/04
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/12/02
-
-
-
-
-
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方