岸田文雄首相は18日、海外の大手半導体メーカーの幹部を首相官邸に招き、日本国内への積極投資を呼び掛けた。会合では、米マイクロン・テクノロジーが次世代半導体メモリーの開発・製造に最大5000億円投資するなど、新たな投資計画の表明が相次いだ。経済安全保障の観点から重要度を増す半導体の安定調達に向け、政府も大規模な財政支援を講じる方針だ。
 会合には、マイクロンのほか、韓国サムスン電子や台湾積体電路製造(TSMC)、米インテル、米IBM、ベルギーの半導体研究開発機関「imec(アイメック)」などの幹部が出席。首相は席上、「対日直接投資のさらなる拡大と半導体産業への支援に取り組んでいきたい」と強調、6月に策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に新たな支援策を盛り込む考えを示した。
 米マイクロンは、今後数年かけて広島工場(広島県東広島市)に最新の半導体製造装置を導入し、高速・省電力の大容量メモリーを生産する計画。急速に技術革新が進む人工知能(AI)などを用途として想定する。
 サムスン電子は先端品の開発に向け、国内に研究拠点を新設する計画を表明。高い技術力を持つ日本の製造装置・素材メーカーと連携する。日韓両国は5月上旬の首脳会談で、半導体サプライチェーン(供給網)構築の協力で一致していた。
 熊本県菊陽町に新工場を建設中のTSMCは、製造能力の拡張も検討していると明らかにした。 
〔写真説明〕海外半導体メーカー幹部と岸田文雄首相(右から6人目)ら=18日午前、首相官邸
〔写真説明〕海外半導体メーカー幹部と意見交換する岸田文雄首相(左から2人目)ら=18日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)