北海道・知床半島沖で昨年4月、死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故で、甲板員の曽山聖さん=東京都調布市、当時(27)=が死亡したのは、運航会社「知床遊覧船」(斜里町)と桂田精一社長(59)の安全配慮義務違反が原因だとして、遺族が約1億1900万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたことが5日、分かった。提訴は3月1日付。
 原告側は訴状で、桂田社長は実務経験がないのに安全統括管理者に就任し、事故2日前には船首付近のハッチのふたが閉まらない状態が発覚したが、把握していなかったと主張。経験の浅い船長を乗船させ、悪天候を理由に「行かないほうがいい」とする周囲の助言を無視して出航させるなど、「重過失どころか故意が認められる」と訴えた。
 これに対し、同社側は請求棄却を求める答弁書を地裁に提出している。 

(ニュース提供元:時事通信社)