政府は9日、夏の電力需給対策として、東京電力の供給地域にある家庭や企業に「無理のない範囲で」節電への協力を要請することを正式決定した。期間は7月から8月まで。節電の数値目標は設けない。東電では7月に、電力の供給余力を示す予備率が安定供給に最低限必要とされる3%に近い水準まで低下する見通しとなっているため。
 東電以外の電力9社の供給地域では、予備率が3%を上回る見通しのため節電要請を見送るが、全国的に省エネルギーへの協力を呼び掛ける。
 東電管内の節電要請は、2022年度の夏と冬に続く措置。9日に関係閣僚で構成する「電力需給に関する検討会合」を持ち回りで開き、対策を決めた。
 夏場の電力需要は午後にピークを迎え、家庭に職場や学校から帰宅する夕方以降、特に需給が厳しくなる。経済産業省によると、家庭の消費電力の節電効果は、エアコンの冷房設定温度の引き上げとフィルターの清掃で計7%程度。不要な照明の小まめな消灯や、テレビ画面を省エネモードにして明るさの度合いを下げることも節電に役立つという。
 西村康稔経産相は9日の記者会見で、「ちょっとした工夫や心掛けが積み重なれば大きな省エネ効果になる。熱中症にならないよう注意しながら無理のない範囲で節電をお願いしたい」と述べた。 
〔写真説明〕会見に臨む西村康稔経済産業相(左)=9日午前、東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)