政府は、防衛装備品の生産などに関する基本方針案をまとめた。有事の際に戦い続ける「継戦能力」を維持するため、装備品は「国産による取得を追求する」と明記。装備品の輸出は、望ましい安全保障環境を創出する「重要な政策的な手段」と位置付け、官民一体で推進する方針も盛り込んだ。
 7日に成立した防衛産業の生産基盤強化法は、基本方針を策定すると定めている。方針案は20日の自民党国防部会などに提示され、意見公募(パブリックコメント)を経て、10月の同法施行までに正式決定する。
 方針案は、防衛力の強化に向けて、自衛隊の任務遂行に必要な防衛装備品を確保するため、「防衛産業の重要性はますます高まっている」と明記。ロシアによるウクライナ侵攻を教訓に、継戦能力の観点から弾薬や艦船は国産が不可欠と指摘した。
 中国製の部品などを念頭に、サプライチェーン(供給網)リスクを回避するため国産が必要とした。機密保持のため外国に依存すべきではないものとして、通信や暗号技術を挙げた。
 国産の防衛装備品の取得が困難な場合、同盟国・同志国との共同開発・生産を推進する。米軍や同志国の軍隊と装備品の規格を統一し、相互運用を図る方針を盛り込んだ。
 産業基盤強化法では、事業継続が困難になった防衛産業の製造拠点を国有化し、別の企業に委託する仕組みが創設された。方針案は国有化した製造拠点が老朽化している場合などには、国による新規建設を認めた。 

(ニュース提供元:時事通信社)