2023/06/29
防災・危機管理ニュース
北海道・知床半島沖で昨年4月、死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故で、事故2日前に行われた救命訓練の際、船のハッチのふたが完全に閉まらず、数センチの隙間がある状態で運航していた可能性があることが29日、運輸安全委員会が公表した報告書案で分かった。
運輸安全委は昨年12月、船前方のハッチなどから浸水し、沈没した可能性が高いとする調査経過報告書を発表。来月26日に関係者や有識者を対象とした意見聴取会を開くなどし、沈没原因との関連を調べる。
報告書案によると、事故2日前に行われた救命訓練に参加した同業他社の従業員が「ハッチのふたが約3センチ浮いている状態だった」と証言。「コツをつかんでいないと完全に閉めることができないと感じた。事故当日までに、専門業者が修理した様子はなかった」と話したという。
海底から引き揚げたカズワンの船体からは約50センチ四方のハッチのふたが無くなっており、状態を検証できていなかった。このため運輸安全委は、ハッチの閉まり具合を調べるため、模型を新たに作製。目撃者の証言や救命訓練時に撮影された写真を基に、ハッチのふたを固定するクリップを同じように回してみたところ、ハッチとふたの間に1.5~3センチの隙間が生じ、クリップは固定されなかった。
〔写真説明〕カズワン船首甲板部のハッチ。事故2日前の救命訓練時に撮影された(運輸安全委員会提供)
〔写真説明〕運輸安全委員会が作製したカズワン船首甲板部にあったハッチの模型(同委提供)
(ニュース提供元:時事通信社)
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