静岡県熱海市の伊豆山地区を襲った土石流災害は3日、発生から2年を迎えた。災害関連死を含め28人が死亡し、現在も124世帯の217人が公営住宅などで避難生活を送っている。市は9月1日に警戒区域を解除する方針だが、すぐに帰還が可能なのは3割程度とみられ、将来が見通せない被災者も少なくない。
 土石流は2021年7月3日午前10時半ごろ発生した。逢初川最上流部付近にあった盛り土が流れ落ち、川沿いの136棟が被害を受けた。自宅を失った被災者らは、公営住宅や民間賃貸を借り上げた「みなし仮設」に身を寄せている。
 崩落地点には約2万立方メートルの盛り土が不安定な状態で残っていたため、県は2月、行政代執行による強制撤去に着手した。市は作業の進捗(しんちょく)を踏まえ、警戒区域を解除する。
 市は22年に復興計画を策定し、被災地に公園や緑地を設ける方針を決めた。警戒区域の解除に向けて電気や水道などライフラインの復旧も進めており、被災者の帰還を段階的に進める計画だ。
 ただ、市によると、避難生活を続ける124世帯のうち、自宅が残っているなど解除時点で帰還の条件がそろっているのは3割程度とみられる。甚大な被害を出した土石流は記憶に新しく、災害が起きた場所へ戻ることに、不安を抱く住民もいるという。 
〔写真説明〕土石流災害の被害を受けた伊豆山地区=6月28日午後、静岡県熱海市

(ニュース提供元:時事通信社)