【ワシントン時事】複数の米主要メディアは6日、米政府がウクライナにクラスター弾を供与する方針を決めたと報じた。ロシアの侵攻に対するウクライナの反転攻勢を後押しするのが狙いだが、クラスター弾は多くの民間人に被害を及ぼすとして問題視されており、人権団体などから非難の声が強まりそうだ。
 報道によると、クラスター弾の供与はウクライナ側が要請していた。反転攻勢が想定より遅れているほか、他の砲弾の在庫が減少していることなどが背景にある。
 クラスター弾は、多数の子弾を広範囲にまき散らす殺傷力の高い爆弾。不発弾が多く、戦後も民間人を爆発に巻き込む可能性が高いため、「非人道兵器」とされている。米国防総省のライダー報道官は6日の記者会見で「供与する場合は、不発率が低い弾を慎重に選ぶことになるだろう」と強調した。
 クラスター弾を巡っては、使用や開発、保有を全面的に禁止する国際条約に、日本を含む100カ国以上が加盟している。しかし、米国やロシア、ウクライナは非加盟で、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、両軍が使用したとされる。
 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは6日付で声明を出し、クラスター弾を使えば「民間人を長期にわたって苦しめることになる」と主張。供与しないよう米政府に呼び掛けた。 
〔写真説明〕クラスター弾の子弾ケース=2022年5月、ウクライナ北東部ハリコフ州(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)