【ワシントン時事】日米、オーストラリア、インドなど14カ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の首席交渉官会合が9~15日の日程で韓国・釜山で行われた。5月の閣僚会合で実質合意したサプライチェーン(供給網)分野で、協定書作成に向けた法的な検証を進めた。貿易、クリーン経済、公正な経済の3分野も協議した。
 会合では、産業界など関係者からの意見聴取も実施。主導する米国は、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、IPEF全体の交渉妥結を目指している。
 供給網分野の実質合意では、三つの組織を立ち上げ、危機時の協力、調達先の多様化、労働者の権利保護にそれぞれ取り組むことで一致した。米国は、正式合意や各国の国内手続きを待たず、「人事や規約などの準備を始める」(商務省幹部)としており、今会合で議論した可能性もある。
 クリーン経済分野では、再生可能エネルギー関連プロジェクトへの投資といった新興国支援策などを議論。米国は、6月のオンライン閣僚会合で、米国際開発金融公社(DFC)によるインフラ投資向けの3億ドル(約420億円)の資金枠設定を表明したが、「融資条件が厳し過ぎる」(インド)との声もあり、難航しているもようだ。
 データ流通のルール作りなどのデジタル貿易や、米国が重視する各分野での労働者の権利保護でも、各国の意見の相違は大きいとみられている。 

(ニュース提供元:時事通信社)