【ソウル時事】朝鮮戦争(1950~53年)の休戦協定締結から27日で70年。「戦勝節」と位置付ける北朝鮮は、中国とロシアの代表団を招いて平壌の金日成広場で軍事パレードを開催し、対米共闘姿勢をアピールするとみられる。
 韓国の聯合ニュースは、米韓情報当局が軍事パレードの準備の様子を探知したと報じた。米国を標的にした大陸間弾道ミサイル(ICBM)をはじめ、各種の核戦力が披露されるという見方が有力だ。
 朝鮮中央通信は26日、ロシアのショイグ国防相を団長とする軍事代表団が25日、平壌国際空港に到着し、歓迎式典が開かれたと伝えた。ショイグ氏は26日、強純男国防相と会談し、軍事面での協力強化を確認した。中国からは李鴻忠・共産党政治局員を団長とする代表団が北朝鮮入りする。
 韓国統一省によると、北朝鮮が戦勝節の行事に外国代表団を招くのは10年ぶり。北朝鮮が2020年1月に新型コロナウイルス対策で国境を封鎖して以来、外国代表団が訪朝するのも初めてだ。
 朝鮮労働党は今年6月の中央委員会拡大総会で「米国の世界覇権戦略に反旗を翻した国家との連帯を強化する」と表明しており、戦勝節を中ロとの連携を深める機会と捉えているもようだ。中ロの代表団が金正恩総書記と面会する可能性もあり、事実上停止していた北朝鮮の外交活動の再開につながるかどうかも焦点だ。
 中でも、ショイグ氏の動向には注目が集まる。戦勝節行事へのロシア政府高官の参加を北朝鮮メディアが報じるのは、正恩氏の体制下で初めてとされる。ロシアによるウクライナ侵攻を支持する北朝鮮は、ロシア側に武器・弾薬を売却したと指摘されており、軍事協力が深まる可能性もある。
 韓国の梁茂進・北韓大学院大教授はパレードについて、中ロの代表団を前に国防力強化を誇示する意図だと解説。さらに「日米韓に対抗して中ロとの連帯を強化する狙いもある」と分析した。 
〔写真説明〕北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」=12日、撮影場所不明(朝鮮中央通信配信)(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)