【ロンドン時事】西アフリカ・ニジェールでクーデターを起こした軍部隊は28日、バズム大統領に代わり、大統領警護隊を率いるチアニ将軍が新指導者になると発表した。チアニ氏は国営テレビで、新たな軍組織「祖国救済国家評議会」の議長として国家元首に就いたと宣言。ロイター通信によると、憲法を停止し、全政府機関を解体して同評議会が立法、行政権を行使するという。
 欧米と良好な関係を築いてきたバズム政権下のニジェールは、西側にとって地域の重要な「同盟国」だった。一方、今回のクーデター支持派は集会でロシア国旗を掲げ、フランスを批判したとも伝えられる。政変後に「ロシア寄り」の姿勢を強めた隣国のマリやブルキナファソと同様、ニジェールも新指導部がロシアに接近する可能性があり、西側は警戒を強めている。
 AFP通信などによると、チアニ氏は反乱について、イスラム過激派に適切に対処せず、治安悪化を招いたバズム政権の責任を問う行動だったと説明。過激派の活動が活発なブルキナファソやマリとテロ対策で「真の協力」を試みなかったと批判した。
 バズム氏は軍によって監禁されているもよう。国際社会からは一斉に非難の声が上がり、旧宗主国フランスは、バズム氏が「唯一の大統領」だとして新指導部を認めない方針。ケニアのルト大統領も、クーデターはアフリカの民主主義を「逆行」させる行為だと批判した。 
〔写真説明〕27日、ニジェールの首都ニアメーの議会議事堂周辺に集まったクーデター支持者ら(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)