【カイロ時事】トルコ大地震は内戦下の隣国シリアにも深刻な被害をもたらし、発生半年後も被災者は厳しい状況に置かれている。国連によると、シリア北西部では約190万人が避難キャンプなどで暮らし、約80万人がテントで生活。住宅再建が始まった地域もあるが、国際社会の支援が十分に届かず「世界から見放された」と嘆く被災者もいる。夏に入ってからは熱波に見舞われ、現地では「死にそうだ」と悲鳴の声が上がっている。
 内戦激化により2013年にシリア中部ハマ県から北西部イドリブ県に逃れたオム・ラメズさん(32)は、夫と4人の子供と暮らしていた。しかし、地震で家は倒壊。避難所は人であふれて入れず、テントでの暮らしは「惨めで希望もない」。国連の支援は届かず、地震直後はいてつく寒さに震え、今は熱波に襲われている。「このままでは私も子供も死んでしまう。この苦しみを理解してほしい」と訴えた。
 反体制派が支配するイドリブ県で、救助団体「シリア民間防衛隊(ホワイトヘルメッツ)」のメンバーとして活動するアフマド・ヤズジさん(37)は、一部地域では国連やカタールの支援を受けて集合住宅建設のための整備が始まったと説明。苛酷な避難生活から脱するため作業を急ぎたいが、被害の爪痕は深く「復興まで時間がかかる」と語った。
 シリアでは、熱波で気温が46度に達することがあり、森林火災も発生。テントで暮らす避難民が猛暑で死亡する事例も報告された。反体制派支配地域で多くの人が頼る国連の人道支援を巡っては、トルコから物資を運ぶことを認める国連安全保障理事会決議が7月10日に失効。支援が停滞している。 
〔写真説明〕シリア北西部で住民のオム・ラメズさんが暮らす避難テント=7月27日、イドリブ県ハレム(本人提供)

(ニュース提供元:時事通信社)