【ニューヨーク時事】米ハワイ州マウイ島で起きた大規模な山火事で、地元当局は10日、新たに19人の死亡を確認し、死者が計55人に上ったと発表した。犠牲者はさらに増えるとみられ、州史上最悪の自然災害となる恐れがある。
 地元警察幹部は10日の記者会見で、行方不明者数を問われ「正直なところ、分からない」と回答した。捜索・救助活動が続くが、現地では停電や通信状態の悪化で、被害の全容把握が困難な状況だ。在ホノルル日本総領事館によれば、日本人の死傷者は報告されていない。
 山火事は8日に複数箇所で発生し、強風にあおられて急速に拡大。かつてのハワイ王国の首都で人気観光地の西部ラハイナの被害が特に深刻で、町の広範囲が灰と化した。10日に状況を視察したグリーン州知事は会見で「きょう見たものは、ラハイナの完全な荒廃だった」と語り、再建には数年かかるとの認識を示した。
 グリーン氏によれば、今回の山火事で建物1000軒以上が焼失し、数千人が住む場所を失ったとみられている。グリーン氏は宿泊施設だけでなく、州民に対しても「行動を」と呼び掛け、被災者を自宅に受け入れるよう要請した。
 バイデン大統領は10日、ハワイ州に大規模災害宣言を発出。これにより、がれき撤去や仮設住宅整備などの復旧事業に対する連邦政府の支援が可能となった。バイデン氏は同日、グリーン氏に電話し、犠牲者への哀悼の意を伝えるとともに「必要な支援は全て行う」と約束した。 
〔写真説明〕米ハワイ州マウイ島のラハイナで燃え広がる火災=8日、SNS投稿の動画より(ロイター時事)
〔写真説明〕10日、米ハワイ州マウイ島のラハイナで、火災に見舞われた市街地(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)