【シリコンバレー時事】米ハワイ州マウイ島当局は12日未明(日本時間12日夜)、同島を襲った大規模な山火事で、計80人の死亡を確認したと発表した。米ブルームバーグ通信によると、約1000人の安否が確認されていない。捜索活動は続いており、死者はさらに増える恐れがある。島の通信状況が悪く、在ホノルル日本総領事館が連絡を取れていない在留邦人もいる模様だ。
 強風と干ばつが重なり被害が拡大したとの見方が出ている。ハワイ州で起きた自然災害の犠牲者としては過去最多となった。
 消防による消火作業は島内の複数の地域で続いている。地元当局によると、11日時点で1418人が学校などに設けられた避難所に身を寄せている。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、同州の南西沖を通過したハリケーン「ドーラ」の影響で、マウイ島上空に突風が吹いていたと指摘した。当局は、強風への備えはしていたものの、火災は想定していなかったという。
 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気候科学者ダニエル・スウェイン氏は、ユーチューブの配信で、吹き下ろしの強い風に加えて、干ばつが続く中、耕作放棄地に草が茂っていたため、火が広がったと分析した。
 不動産データの分析を行う米コアロジック社は11日、被害が甚大な島西部ラハイナを中心に少なくとも3088戸の住宅に被害が及び、再建には計13億ドル(約1900億円)が必要になるとの暫定試算を示した。インフラも破壊されており、復興には数年以上かかる可能性がある。 
〔写真説明〕11日、山火事で焼け落ちた米ハワイ州マウイ島ラハイナの建物(AFP時事)
〔写真説明〕11日、山火事に見舞われた米ハワイ州マウイ島ラハイナの道路を清掃する車両(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)