【カフルイ(米ハワイ州マウイ島)時事】米ハワイ州マウイ島で大規模な山火事が発生して1週間を迎えた15日、地元当局はこれまでに計106人の死亡を確認したと発表した。依然として多数の行方不明者がいるとみられ、当局は連邦政府の協力も得て、捜索活動を加速させている。
 地元警察などは15日、身元が判明した犠牲者の氏名を初めて公表した。いずれも壊滅的被害を受けた西部ラハイナの住民で、ロバート・ダイクマンさん(74)、バディ・ジャントックさん(79)の2人。他に3人の身元も分かり、親族に通知する予定という。
 地元メディアによると、ジャントックさんは音楽家で、火災発生時は高齢者住宅に居住していた。取材に応じた孫娘は警察から祖父が亡くなったことを知らされたといい「(祖父は)高齢だったが、こんな形で奪われたことが一番受け入れ難い」と涙ながらに語った。
 在ホノルル日本総領事館によれば、マウイ島には在留邦人が数百人いるが、生命や身体に関する被害の情報は報告されていない。引き続き、安否確認を続ける。
 15日午前時点で、当局は火災現場の約3割で捜索を終えた。建物や遺体の損傷が激しく、ニューヨーク・タイムズ紙は、米同時多発テロを経験したレスキュー隊員や、ロシアのウクライナ侵攻で戦争犯罪を記録する作業に従事するDNAの専門家らも現地入りして活動に加わっていると報じた。
 連邦政府からは、X線装置が付いた移動式遺体安置室が送られた。地元当局はこうした支援を受け、今週末までに対象地域の9割の捜索を完了したい考えだ。
 また、バイデン大統領は15日、「できるだけ早期にハワイに行くつもりだ」と視察の意向を表明。ホワイトハウスはその後、大統領夫妻が21日にマウイ島を訪問すると発表した。 
〔写真説明〕15日、山火事が発生した米ハワイ州マウイ島の西部ラハイナで現場に入る捜索隊(ロイター時事)
〔写真説明〕15日、山火事の被災地となった米ハワイ州マウイ島ラハイナ(EPA時事)
〔写真説明〕15日、山火事で被災した米ハワイ州マウイ島ラハイナの通り(EPA時事)
〔写真説明〕15日、米ハワイ州マウイ島ラハイナで、焼け残った車を調べる米警察(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)