2023/08/17
防災・危機管理ニュース
【ラハイナ(米ハワイ州マウイ島)時事】鼻を突き刺す焦げた臭い。眼前に広がるモノクロームの景色―。米ハワイ州マウイ島を襲った山火事で甚大な被害が出た西部のラハイナは、海を望みハワイ王国の歴史を探訪できる観光地の面影を失っていた。時事通信記者が16日、現地に入った。
捜索と復旧のため通行制限していたラハイナに向かう主要道が16日、一般でも通れるようになった。海沿いにある中心部より高い位置を車で走ると、焼け焦げた車が所々に残されている。町に近づくにつれ、茂みが焼けた跡も点在していた。
途中、中心部を見下ろす小高い丘に立ち寄った。近くには壁だけを残した家々が並ぶ。案内役で旅行ガイドの経験もある金安理香さん(58)は「この辺りは住宅が密集していた」と説明した。猛火の跡に残された白と黒の帯は海まで延び、カメラのレンズに納まり切らないほど広がっていた。
市街地に入り、車の窓を開ける。焦げだけでなく、すっぱく刺激の強い臭いが鼻を突く。喉の痛みも感じた。「油の臭いもする」。金安さんがつぶやいた。中心部では行方不明者の捜索や復旧作業が続き、立ち入ることはできなかった。
山火事発生から9日目を迎え、確認された死者は計111人となった。ハワイ州のグリーン知事は16日、米ABCテレビに「多くは海岸沿いの路上で亡くなった」と明らかにした。ラハイナは山と海に挟まれ、町を出る道路が限られるため、迫る炎から逃げ切れなかったとみられる。
16日午後(日本時間17日午前)時点で捜索が終わったのは、火災現場の約4割。グリーン氏によると、依然1000人超と連絡が取れていない。当局は捜索犬や検視官の数を増やし、犠牲者の身元確認と被害の全容把握を急いでいる。
在ホノルル日本総領事館によれば、マウイ島にいる数百人の在留邦人に関し、人的被害は報告されていない。引き続き情報収集や安否確認に当たっているという。
〔写真説明〕16日、山火事で焼けた米ハワイ州マウイ島ラハイナの家屋
〔写真説明〕16日、山火事で大きな被害が出た米ハワイ州マウイ島ラハイナの街並み
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月28日配信アーカイブ】
【11月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:今こそ学び直す!南海トラフ地震臨時情報 その1
2023/11/28
-
東京都がオールハザード型Step.1を公表
東京都は11月24日、都政BCPを改定した「オールハザード型Step.1」を公表した。これまで主に首都直下地震を想定してきたが、東部低地帯における大規模風水害、島しょ地域での南海トラフ地震による津波被害、火山噴火、中規模な災害など、災害の事象や規模によって対処方法は多岐にわたることなどから、柔軟に対応できるBCPに改定した。これに併せて、被害の実態に即した執行体制を構築することで、災害対応力も一層向上させるという。
2023/11/27
-
南海トラフ地震臨時情報への理解と対応
リスク対策.com はこのほど、気象庁が2019年5月31日から運用を開始している「南海トラフ地震臨時情報」について、企業がどの程度理解し、対応を検討しているかなどを明らかにするため、アンケート調査を実施した。その結果、臨時情報の内容については概ね理解がされているものの、対応について検討したり、具体的な計画を策定している企業は一部にとどまることが明らかになった。
2023/11/26
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月21日配信アーカイブ】
【11月21日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:防災・事業継続力を可視化する
2023/11/21
-
-
従業員の自助力高め現場主導型に運用を転換
大手自動車メーカーの日産(神奈川県横浜市、内田誠社長)は、複雑化する操業リスクにBCPで立ち向かっている。事業再開のベースとなる従業員の自助力の強化に取り組み、継続したロールプレイ訓練で課題を繰り返し洗い出す。懐襟を開いたコミュニケーションでサプライヤーの意欲を高めている。
2023/11/16
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年11月14日配信アーカイブ】
【11月14日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:社史を防災・BCP教育に生かす
2023/11/14
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方